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 疲れた声で主の帰還を告げ、玄関からワンルームの部屋へ、いざ! と扉を開けるが。  ――――ガンっ。  何かにつっかえてしまい扉が半分までしか開かない。それでも天宮は気にせずもう一度扉を押せば、ゆっくりと開いていくと同時に、何かが崩れ落ちる音がした―――きっと漫画か本が雪崩を起こしたのだろう。この部屋では冬に限った現象ではないため、天宮は気に留めない。  そのまま一歩進み扉の横の電気を付ければ、漫画や本、酒の空き缶や空き瓶が転がっているのが視界に映った。ついでに言えばキッチンの方には大きく膨らんだゴミ袋が二つ、そして空いた段ボールが三個ほど転がっている。  天宮は〝見つかる床〟を踏み、ベッドの隣りに置いてあるパソコンデスクへと直行。スーパーの袋はベッドの上へ置き、天宮はパソコンデスクの前にある椅子に腰を掛けた。  うつぼさんとのチャットの約束時間は21時。  今は18時45分弱。  勤務しているスーパーで今晩の食糧を調達していたから、いつもより帰りが遅くなってしまった。     
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