0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
いつも通りお母さんに起こされて、いつもと同じように朝ごはんを食べて学校に向かう。
これと言って変わったこともなく普段通り授業は進み放課後を迎える。
「なぁ、帰りボウリング行かね?駅前に新しい店できたんだってよ。」
「お、いいね。あの黒い建物の3階のとこだろ?」
「え、なにいったことあんの?」…
たくさんのクラスメイトが言葉を交わす中で、その会話だけが鮮明に耳に入ってきた。
その中には彼がいた。
1ヶ月前、思い切ってチョコレートを渡した彼が。
(…あんなの本命だと思われてないもん、仕方ないよね。)
『あっ、あのっ…! 』
『ん?』
『これ…その……バレンタイン…』
『えっ、俺に?ってちょっと??』
あの時、恥ずかしすぎて一方的に渡して気持ちも伝えず走って逃げてきてしまった。
自分から後日感想を聞くこともできず、かと言って彼から何か話を振られることも無かった。
それなのに1ヶ月経った今日3月14日に何かあるんじゃないかとちょっとだけ期待していた自分が馬鹿みたいだ。
彼は私のことなんてなんとも思ってない。
私が勝手に期待してただけだよね。
あはは……帰ろ。
家に帰って本を読んでいたら良いところなのにご飯の時間になった。
はあ。ついてないなー今日。せっかくいいところなのに。
そんなことを思いながら部屋の電気を消して階段を降りかけたその時、机の上の携帯が軽快な音を立てた。
誰だろ?
"ねえ、今から駅前まで来れたりする?"
えっ…??
通知画面の送信者の名前を見ただけでびっくりしたのに、文面で更に驚いた。
すぐさま"いま行く"と返事を打って、お母さんにはコンビニでノート買ってくるからと告げて家を出た。
最初のコメントを投稿しよう!