あい。

1/1
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ

あい。

「じゃあ、あなたが思ってる愛ってなに?」 わたしは、目の前にいる彼女に問いかけた。 「依存しないこと。」 平然と目を見据えながら言う。 「依存……?」 「そう。依存だよ。君の恋愛は、依存だ。カタチのあるものばかりに囚われないでね。相手のためを思ったものこそ愛だよ。」 アイスコーヒーのストローをカラカラと氷と混ぜている彼女から目が離せない。 そう言い放つ彼女のことは、理解ができない。私には、どうしても。目の前で話している彼女の目は爛々と光り、自信に満ち溢れている。 「あのさ、じゃあ、例えば、私があなたのことを好きだとして、一緒にいることも依存なの?」 どうしてもこれが言いたかった私は戸惑うことなく言った。 「あなたが他の人と付き合っている間、さみしかった。あなたを好きでいないために、違う人と付き合った。でもダメだった。こんなこと言ったら嫌われちゃうから。これは依存……?」 彼女が驚いた表情をして、固まってしまった。 「ごめんね。相手のこと、思ってないね。私、帰るね……。」 もうおしまいだ。椅子から立ち上がった私に彼女は言った。 「待って!!私も……。私もなんだよ。君が好き。だから付き合ってるのが悲しくて、寂しくて……。偉そうなこと言ったのは、君が他の人と付き合って欲しくなかったから。」 私が驚き固まる番だった。椅子から立ち上がったままの状態で、動けなかった。 「え、一緒なの……?」 「一緒だったみたい……。」 私たちは、笑いあった。これから、私たちの未来が楽しみだ。依存だ依存じゃないなんて関係ない。 愛のカタチも関係ない。好きなんだから。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!