一の幕

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 クラスで浮いている人は私だけではないけれど、ミステリアスだからとか近寄りがたい雰囲気だからという理由で浮いている美少年とは違って、軽いイジメ…というほどでもなく、なんとなくみんなから距離を置かれているという感じが近いのかな。   髪の色がみんなと違うって理由で浮くのは慣れていたけど、今の学校は校則が緩いせいか私の赤っぽい茶髪も目立たなかった。  ただ、仲良くしている友達が、悪いうわさがあるというなんだかよくわからない理由で、私は特に気にすることなく学校に通っていた。  その私が浮いている原因でもある友達は、たった一人。夕乃(ゆの)阿隅(あすみ)。  雪のように真っ白な肌に肩の長さに切り揃えられた艶のある黒い髪。スラッとした長身のモデルみたいな女の子だった。  阿隅とは幼馴染で、幼稚園の男の子に髪の毛の色が変だといじめられて泣いていた私に「夕日の色みたいで綺麗だね」って言ってくれたのがきっかけでそこからずっと仲良しでいる。  彼女は、去年のクリスマスくらいに病気をして学校を休んでいたけど、春になってからは学校に来はじめて、冬休みも目前となった今では悪いうわさも気にせずに元気に学校に来るようになった。  残念ながらクラス替えで別々のクラスになってしまったけど、今でも仲良しで…というか阿隅も友達が出来ずに毎日私の教室に来て、私の席で一緒にお弁当を食べて過ごしている。     
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