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それは2月15日、バレンタイン翌日の事……。
俺、柊充は命の危険に晒されている……!
【数分前の事】
俺は昨日、幼なじみの千里の戦略を見破って、可愛い女子からチョコケーキを貰った。
そして今それを美味しい紅茶と共に堪能してるところだ。
「充坊ちゃん、千里お嬢様が来ております」
執事が来たと思えば、来客……いや、来敵を知らせにだった。
ははーん、作戦が上手く行かなくて八つ当たりに来たか。
「通せ」
「かしこまりました」
【そして現在】
俺の幼なじみはどす黒いオーラを放ち、ご自慢の金髪縦ロールをそのオーラで揺らしながら立っている。
「みィつゥるゥ……あんたねぇ……」
まるで地の底から這い上がってきたような声だ。
「な、なんでございますでしょ?」
震える声で言うと、どす黒いオーラが消えた。
「ね、そのチョコケーキ美味しい?」
千里は可憐な笑顔でケーキを指差しながら聞いてくる。
「う、うむ。なかなかの美味であるぞ」
俺の言葉を聞いた途端、千里は無表情になる。
「そのチョコケーキはさぁ……」
「お、おおお、お前の陰謀で友達に渡させたのだろ!?いい、今更そんなこ、古典的な手に引っかからないぞ!残念だったなー!ふはははははっ!」
ヒュンッ バシンッ
なんの音か分からず千里を見ると、彼女はいつの間にかムチを持っていた。手の位置的に振り下ろした後。
そして……。
ドシィンッ
恐る恐る振り返ると、チョコケーキや紅茶を乗せていたテーブルの一角が切り離されて倒れている。ちなみにチョコケーキと紅茶は無事である。
「こ、高級マホガニーだぞ!?厚さかなりあったぞ!?そそそそそれを、ム、ムチ1本でえぇ!?」
「いい?優香はね、女子力どころか生活力皆無だったのよ!それでもあんたに想いを伝えたくて1年も私の元で修行したの!その結晶がそのチョコケーキなのよ!私が仕組んであの子にチョコケーキを渡させたぁ!?いい加減になさいよ!私はそんなに暇じゃないのよ!この童貞オタク人でなしロクでなしのチェリー野郎!」
千里はお嬢様と思えない暴言を俺に吐いた。というか童貞って2回も言われた……。
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