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俺の名推理が輝いたと同時に、お湯が沸いた。
「ふはは!これくらいの謎、名探偵柊充にかかればなんともないわっ!」
俺は高らかに言うと、刻んだチョコに熱湯を注いだ。チョコはすぐに溶けていく。
「さて、次の謎は……?」
俺は前に見た料理本を思い出す。
確か白い液体を注いでいたような……?
「フッ……。料理で使う白い液体など、あれしかなかろう……」
俺は牛乳を注いで混ぜた。
「後は容器に流して固めるのみ!」
俺は四角くて浅い、銀色の容器にチョコを流し込んだ。
ツヤツヤの表面が美しい……。
俺は自信作を冷蔵庫に入れると、軽い足取りで千里の元へ向かった。たぶんアイツはテラスにいる。
「あら、お疲れ様」
テラスへ行くと千里は優雅に紅茶を飲んでいた。
「出来たぞ、最高のがな」
俺は不敵に笑い、千里の向かいに座った。
「どうでもいいけどそのカッコつけ、キモイわよ。厨二病末期は怖いわー。まぁそんな事より出来上がるのが楽しみねー」
俺と千里はしばらく談笑を交えながら紅茶を楽しんだ。
数時間後……。俺と千里は台所へ来た。
「見てくれ、俺の自信作を……!」
俺は冷蔵庫を勢いよく開け、千里は俺の自信作を取り出す。
「………………うん、デジャヴュ」
数秒の間があった後にそう言ったかと思うと、ムチが容赦なく叩きつけられる。
「ひぎゃあっ!?」
「なぁにやってんのよこのバカぁ!あんたお湯を直で入れたでしょ?しかもシート敷いてないし!」
「ゆ、湯せんのせんとは潜るでは……?」
恐る恐る名推理を千里に伝えてみる。
「なにわけのわかんないこと言ってるのよこのバカ!このデジャヴュバカップル!……あーもう、あんたにはやりたくなかったけど住み込み修行確定ね!」
前半何言ってるか分からなかったが、どうやら俺はしばらく千里の屋敷から出られないらしい。
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