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呆れ返った千里は、俺に紙を渡すと執事を読んだ。
「これからあんたが過ごす客室に案内させるわ。その紙にはホワイトデーお返しの意味が書いてあるの。それを見て何を作るか今日中に決めなさい」
千里は言うだけ言ってスタスタとどこかに行く。
「充様、こちらです」
千里の所の執事は丁寧に部屋へ案内してくれた。まったく、うちの執事にも見習って欲しいものだ。
「どうぞ」
執事はドアを開けてくれた。俺はいい気分で部屋に入った。
「なんじゃこりゃー!?」
たぶん3畳くらいの狭さ、何故かかび臭い……。うっすらと埃被っている。
入ってすぐの所にドアがあったので開けてみると、狭いスペースに風呂とトイレが一緒にある。
簡単に言えば、月2万円程のボロアパートの一室みたいな……。
「掃除はお前がやれ」
バタンッ
あの執事は千里が着ぐるみでも着てたのだろうか……?
そんな事はよくないけどまぁいい……。
「掃除、するか……」
なんとか掃除用具を見つけ出し、部屋を綺麗にした。
「つっかれた……」
綺麗になったフローリングに寝転び、千里からもらった紙を広げる。
「なになに……?マシュマロはあなたが嫌い、クッキーは友達……。キャンディがあなたが好きです、か……。マカロン……?と、特別な、人……」
口をするのも少し恥ずかしいけど決まった。
俺は部屋を出て千里を探した。
「んー、美味しい!」
一室から声がして覗いてみると、千里がマカロンを頬張っていた。
「千里!」
「ん?あーあんたか。決まったの?」
「マカロンだ」
俺が言った途端、千里の手にあったマカロンが粉砕した。
「……生チョコも作れないくせにマカロン?」
「そ、そうだ。そのー……と、とと、特別な……人、だから……」
照れくさくてどもりながら言うと、千里は爆笑した。
「ぷっ、あーっはっはっは!あ、あんたから特別な人って……ははははっ!まぁいいわ、頑張んなさい。先生にはなんとか言っといてあげる」
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