名誉挽回

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「先生?」 訳が分からず首を傾げていると、千里は指を鳴らした。 「お呼びでしょうか?」 「うわっ!?」 俺の真後ろにコックがどこからともなく現れた。 「充にマカロンの作り方を教えてあげて。あなたの空き時間でいいわ」 「かしこまりました」 「え?え?」 困惑していると肩をがしっと掴まれ、俺は台所に連行された。 「はーぁ、お嬢様の命令だから仕方なく教えてやるよ、チェリー坊や」 なんで見ず知らずのコックにまでここまで言われないといけないのだろうか? この日から俺は学校にも行かせてもらえず、毎日ただひらすらマカロンを作り続けた。 「そうじゃねぇつってんだろ!」 「この下手くそが!」 「何度言ったら分かるんだ!」 ……暴言を吐かれながら毎日毎日マカロン。 というか俺の家族は俺が心配じゃないのだろうか?学校はどうしてるんだろうか? 【学校では】 「そちらのクラスの柊充くんですが、複雑怪奇骨折をしたみたいなのでおやすみするみたいです」 千里は充の担任に偽の診断書を渡した。 「ん?ヒイラギミツル……?そんな生徒いたか?どれどれ……。あぁ、いたみたいだな。分かった分かった」 【そしてお屋敷】 「で、出来た……」 3月10日、俺はやっとまともにマカロンが作れるようになった。 「少し上手くできたからって気を抜くんじゃねぇ!油断すると失敗するんだよ、料理も戦場もな!」 ……このコックは何者なのだろうか? この日からもやはりマカロンを作り続けている。 少しずつ、まともな形になっていく。 そして3月13日、ようやくコックも認めてくれるマカロンができた。 「悪くない。あとは当たって砕けろ!砕け散れ!がははっ!」 声援だか貶しだか分からない言葉をもらった。 千里からも明日は学校に行くように言われた。
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