獣耳の衛生兵

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俺はこの隊の隊長をしている。 当然、作戦立案の為に情報処理もする事になる。 今日もいつもと同じく、山と積まれた書類に目を通していく。 書類には新入隊員の情報も含まれている。 新入隊員の情報には細かく目を通し、 他の書類は斜め読みで素早く処理していく。 そうでもしなければ終わらない。 ふと、気になる供述を見つけて手を止める。 それは一人の女獣人の入隊通知書だった。 獣人というだけなら隊にも僅かながら所属者はいる。 大して気に留めるような事ではない。 気になったのは、その獣人の配属だ。 その獣人は、衛生兵として入隊したという。 元来、獣人というのは血気盛んで、前衛に出るような性質の種族なのだ。 しかも大半は人間より身体能力に優れている。 確かに種族によって差異はある。 しかし衛生兵として入隊する獣人がいるとは。 物好きな獣人もいるものだ、と思いながらその書類を処理済みの方へ置いて書類整理に戻る。 どんな変わった奴なのか、顔合わせを少し楽しみにしながら――。
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