獣耳の衛生兵

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「呼び立てて悪いな」 「いえ…」 「とりあえず座ってくれ。飲み物でも用意しよう」 「…失礼します」 とりあえず、と飲み物を出して問題を先伸ばしにしている。 その事は分かっている。 これは時間では解決できない。 呼び立てたのなら後には退けない。 腹を括って言葉を紡ぐ。 「今日の事だが…」 瞬間、彼女の顔が強張り、息を呑んだのが伝わってくる。 それを無視して言葉を繋げる。 「俺が覚えていない、というのはどういう意味だ?」 そう問うと、やはり悲しそうな顔をする。 しかし、すぐに表情を変えてゆっくりと語り始めた。
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