匂い桜 （小町娘の捕物控え・其の２）

第四章 ＊お江戸の娘は負けませぬ＊

　「誠に左様でございますなぁ。でもアレの男嫌いには・・ほとほと手を焼きまして御座りまする」
　二人は顔を見合わせて。
　「なんと上様がのぉ、右京の豪胆さに惚れて居られたそうな」、と天英院様が言えば。
　「名をたずねられる前に大奥をリストラされて、右京は真に幸せいたしました。その様なことに為っておりましたら、今頃は月光院様に呪い殺されておりましたろうに」、と一条の局が答える。
　それから二人は、互いを牽制しつつ。
　大樂かに・・「オッほっほっほっ」と、高らかに笑ったのであった。