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ガレージから引っ張り出す頃には夜だったがロビンは、どこか眩しそうに空を見上げていた。
「これでよしと、聞こえてるかい? ロビン調子はどうだい?」
ロビンは無反応だった。
「こないだ動かした時はすぐに起動したのに」
「エネルギーカプセル自体が寿命なのかもしれないわ」
僕たちが焦っているとマイティの大きな目から涙が落ちそうになった。
『……ナカナイデ、アーサー』
ぎくしゃくした低い声でロビンがマイティに話しかける。
『……マタ、トウサンニ、オコラレタノカ、ナキムシハダメダゾ』
「アーサーは僕だよロビン」
集音マイクが弱っているため、わりかし大きな声で言うと、ロビンはゆっくりこっちに向いた。
『アア、ヒトハスグ、オオキクナルネ』
マイティは動くロビンを目の当たりにして飛びついた。
「イチゴの良い香りがする」
『……イチゴダンシャクハ、キョウテキダッタカラネ』
「苦労したねロビン」
彼の顔を撫でると目がチカチカと点滅させ泣いているようにも笑っているようにも見えた。
「……ジャアクナ、フルーツ、ヤッツケロ、チキュ……ウノヘイワヲ」
オイルがきれたのか、掠れた声でロビンは歌い出した。
リズムも音程もチグハグだったが、それでも懸命に歌い続けた。
家族一丸となってロビンの後に続いた。
そして昔話をして、マイティをロビンの上に乗せて写真を撮った。
もう1曲歌い終える頃には、ダコタが最高級のオイルを持ってきた。
「はい、ロビン」
『オオ、カタジケナイ』
「第8話からの決め台詞、相変わらずねロビン」
マイティは本物のロビンに会えた事から興奮しすぎてもう眠くなっていたようだった。
「あら、そろそろオネムかしら」
マイティは眠い目をこすって、ロビンに挨拶をした。
「またね、ロビン、また明日」
『オヤスミ、マイティ、マタネ』
腕を上げて降るロビンからは軋んだ音がする。
「ロビン、僕もそろそろ眠ろうと思うんだ」
『……ダイジョウブダヨ、アーサー、ダイジョウダ』
スイッチに手を置く。
「また明日だ」
『マタ、アシタ』
スイッチを切るとゆっくりとロビンは停止した。
「パワーカプセルも後10本も無いわね」
「ああ」
ロビンをガレージに戻しながら、ロビンが守った空を見上げた。
僕はまだ泣き虫のままだった。
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