1人が本棚に入れています
本棚に追加
見られたら不味いものでも調べていたのだろうか。
藍が見ていた辺りは、医療関係の本が並んでいる。看護師になりたいといって進学する生徒もいるので、そういった類いの本も多いとは言えないが一通り揃っている。
藍は慌てて本を押し込んだから、暫く手に取られていない古そうな本より、若干背表紙が通路側に出ていた。その本をとって、ぱらぱらと捲ってみる。そこにはただ、医療現場では云々といったことが書かれているくらいだった。
藍は大学進学希望だったが、看護師になりたいという話は聞いていない。何のために見ていたのか知らないが、私にあまり知られたくないようだったのは気のせいか。
たいした夢もなく、ただ漠然と進学出来るならしようという、夢も希望もない私とは出来が違う。何か気になって調べていたのかもしれない。
彼女は日があたる場所にいる人だった。いつも友達に囲まれていて、いじめられたこともないような顔をしてそこにいる。
幼馴染みで、好きな人のことを放って置けない藍を見るたび、私は何となく嫌な感じがした。
最初のコメントを投稿しよう!