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 見られたら不味いものでも調べていたのだろうか。  藍が見ていた辺りは、医療関係の本が並んでいる。看護師になりたいといって進学する生徒もいるので、そういった類いの本も多いとは言えないが一通り揃っている。  藍は慌てて本を押し込んだから、暫く手に取られていない古そうな本より、若干背表紙が通路側に出ていた。その本をとって、ぱらぱらと捲ってみる。そこにはただ、医療現場では云々といったことが書かれているくらいだった。  藍は大学進学希望だったが、看護師になりたいという話は聞いていない。何のために見ていたのか知らないが、私にあまり知られたくないようだったのは気のせいか。  たいした夢もなく、ただ漠然と進学出来るならしようという、夢も希望もない私とは出来が違う。何か気になって調べていたのかもしれない。  彼女は日があたる場所にいる人だった。いつも友達に囲まれていて、いじめられたこともないような顔をしてそこにいる。  幼馴染みで、好きな人のことを放って置けない藍を見るたび、私は何となく嫌な感じがした。
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