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「夢は本人の願望だと聞いたことがあるけど」  彼は男の癖に長い睫毛に色白の持ち主だった。頬にはほどよく赤色がにじんでいて、その赤は濃くなって形のよい唇の色にもなっている。  あまり男では聞かない、雅巳という名前の彼は、まっすぐこちらに目を向けてきた。それはどこかふざけたようなそぶりにも見える。私が話したことを面白がっているよう顔が今度は困ったような表情に変わった。  コピーをとってもらったプリントの何枚かが、私の手から風によって滑り落ちたのだ。それに「まだ寝ぼけてるんじゃないのか」と私が席を立つよりも先に、雅巳が拾って机にのせる。  私は今日、一時間目の授業に出られなかった。簡単に言えば寝坊といえるし、そう遅刻した理由を先生に伝えた。  寝坊して遅刻したことには違いないのだが、私が飛び降り自殺をする夢を見たのも悪かったといえる。夢を見たのは久しぶりだった私は目が覚めたあと、時計も見ずにどうしてこんな夢を見たのかベッドで振り返ったのが悪かった。
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