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 放課後にある面倒な掃除を終えたあと、早く家に帰ろうと思った私はあくびをする。  図書室にでも教室でも同級生の誰かが勉強する姿を見ると、自分はもっと勉強しなくてはならないと焦りばかりが出てきてしまう。誰かか勉強しているその姿にさえ苛立ってくるのは、寝不足のせいだと息を吐いた。  上履きを鳴らしながら階段を下り、玄関へと向かえば藍と雅巳がいた。  放課後の薄暗い玄関にいる藍は私に気がついても、雅巳との話を優先させた。雅巳は困ったような顔をこちらに向けてくるのを、藍が「最近変だって。あれだけ真面目だったのに、吉田先生だって何があったのかって言ってたんだから」と強引に会話を自分に引き戻している。 「どうしたの」 「どうもしない。藍にも、そうさっきからいってるんだけど」 「真面目に言ってるんだよ、雅巳。今までちゃんと授業に出てたのにさぼるようになったら、何かあったのかって気になるのが普通でしょ。ねぇ、何で話してくれないの」  そういうことか。  下駄箱が並ぶなかで、藍は爆発したように問いかける。  先に玄関にいた二人は私が来るまでの間、どんな話をしていたのか。今、藍は請うようにして言った言葉で何となく理解した。
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