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 私も昴のことを知るために触れる。何がどこに詰まっているのかわからないが、そこに私を植え付ける。私しかいなくなるように。 「変かな」 「いいや。けど、驚いた」  急に自分の内面をさらけ出した事が恥ずかしくなった。しかも考えていたのは昴の手や唇のことだ。何だか変態くさいことを本人に言っている自分がどうしようもない奴に思える。  私の家とは違う毛布の匂いに包まれていると「秋穂がそんな風になってるとは思ってなかった」と、紅茶に角砂糖を何個か落としたやつをかき混ぜ、私へと渡す。彼は自分のカップに口をつけていた。喉仏が動くのに目が向く。  紅茶を飲んだ後の吐息を漏らし、隣に座る昴の髪の毛はまだ湿っぽさが残っていた。先にシャワーを浴びて、ドライヤーを貸して貰った私はすっぴんを晒している。すっぴんよりも恥ずかしいことをした後だから、別にどうもしない。ただ、思う事があった。 「なんか、ごめん」 「なんで謝るんだ? 」 「いや、好きな相手に好きだと言って受け止められたけど、しばらく何も出来ずそのままっていうのも苦しかったんじゃないかと思って」  好きな相手らも、好きだという思いを向けられたい。片思いて十分という人もいるかもしれないが、多くは好意を向けられたいし、自分の好きな相手からも特別な証が欲しい。それは形のあるものであったり、言葉だったり様々だが、思い合っていると理解できる何かがいい。  今更なことだろうが、そんな言葉が出た。
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