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 まあな、と昴は紅茶を飲む。 「ただ別れ話をしてないだけで、もう彼氏彼女の状態じゃないのを俺は知ってたからな。状態だけなら付き合ってないのと同じだろう。それに」 「それに?」  聞き返すと、面白がっているような顔がこちらを見た。 「実は結構、俺のこと好きじゃないのかと思うこともあったから悪くはなかった」 「なにそれ」 「だってお前、俺がなんか言うと、可愛い反応するんだよ。中学生かよって思うくらい」  動揺が指先、そしてカップに伝わり、紅茶が揺れて波を作る。溢したらまずいと力を込めて落ち着かせる。二十歳を過ぎた女が中学生みたいな反応ってなんだ。  女同士の可愛いという言葉にはその意味以外に多くの意味が込められているし、異性から可愛いと言われてもただ、そうかと少し嬉しいくらいだ。けれど、昴に可愛いと言われて馬鹿みたいに体が熱くなる。  ほらな、と笑う昴に全て見透かされているのかと思うと、いたたまれなくなる。  ただの親しい友達から始まり、その期間を伸ばしながらも、中身は付き合ったばかりの恋人のようなことをしていた。  私は浩太と別れるまで、昴の思いを理解していったし、翻弄されていた。体温が上がり、脈打つような思いを味わわせ思い出させたのは昴だった。
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