1人が本棚に入れています
本棚に追加
それは中学生や高校生で、異性から僅かでも好意らしいものを感じて嬉しい気持ちと、そういう目で見られることへの嫌悪めいたものが入り混じる、あんな感じに近い。
ただ違うのは、彼に性の対象として見られても嫌悪感はなく、むしろそうか、と対象として見られていることの安堵を感じたことだった。
自分にまだ可愛いと言われて素直に照れるだけの、可愛さが残っていたことに驚いてしまう。そんなもの何処かに忘れてきたと思っていた。
昴は私のことをよく見ていた。それは外見というよりも、話した内容や、そこから感じ取った微妙な感情や、その後ろに隠れている何かだった。言葉や文字にしなければ相手に伝わらないが、何となくわかっている、そんな気が彼からはする。
好きな相手に彼氏がいたら普通、告白するにしても抵抗感があるのではないか。聞けば昴は、あったとしても好きだといってた、と返してくる。好きな相手に彼氏がいようが、告白するのは別になんでもない。決めるのは相手だ、と。確かに決めたのは私だった。
「告白もいきなりでびっくりだったからね」
「今言わないと死ぬって思うくらいで言ったからな」
「なにそれ。嘘ばっかり」
昴に言ってないことがあった。
最初のコメントを投稿しよう!