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2018年1月某日
「え、じゃあ、生物準備室で作ってたんですか?朝ごはん」
甘乃川駅前のカフェ『カシオペア』は、天乃川女子高校(通称甘女)生の絶好の寄り道スポットになっている。
元々は、『樫本食堂』という食堂で、その名残か、メニューにはラーメンやカツ丼、モツ煮定食などが残っている。
出戻ったという長女が後を継いだらしいと、もっぱらの噂だが、店主は一応料理人として店内にはいるらしく、食堂のメニューは変わらずに提供されている。
店主の長女で、今はカフェのマスターでもある熊田彩矢(旧姓樫本)は、元は甘女天文部員で、自分が在籍していた頃の話をたまにしてくれる。
「昔はお湯をわかせるようにガス台があったんだよ、一口だけだけど」
そう言いながら、彩矢は後輩でもある常連の女子高生二人に黙ってコーヒーのおかわりを注ぐ。一品注文すれば、コーヒーが飲み放題なので、長時間居座るのにもってこいなのだ。
カフェ『カシオペア』(元・樫本食堂)は、昼時は、周辺の工場や会社からの昼食客や、出前であわただしいが、ランチが終わり、ディナーが始まる前は、暇なのか、甘女生がたむろっていても、マスターの彩矢はうるさい事は言わない。
それどころか、時折話に混ざってきては、自分が学生の頃の話や、雑談をしたりする。一応『ネットカフェ』の体もあるようで、店内にはデスクトップのパソコンが数台設置されている一角がある。しかし、そこを使ってネットサーフィンをしている様子の客を、今まで一度も見たことが無かった。時折『パソコン教室』と称して参加者募集をしているのを見るが、たいていは休日の午後の為、受講者を見る事は、まず無い。
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