2018年1月某日

3/3
前へ
/57ページ
次へ
「今年の皆既月食も甘女会館だよねえ」 「そうでしょ、平日だし」  2018年1月31日水曜日、その日は、スーパー・ブルー・ブラッドムーンという事で、世間的にも盛り上がっていた。 「……そっか、甘女会館か……」  つぶやくように彩矢が言った。 「遠いよね、学校から、車で、十五分くらい?」 「行く時は、いつもエビちゃんが車出してくれるから、そんなに大変じゃないよね」  エビちゃんというのは、甘乃川女子高校天文部顧問で数学教師でもある海老名泰の事だ。彼女の愛車、アイシスでは、全員を乗せきれない為、学校のステップワゴンに荷物と部員を乗せて二往復するのが常だった。 「二人とも、合宿参加するの?」  まるで気を取り直すように声をあげて、彩矢が聞いてきた。 「はい!」  礼音も鈴香も声を揃えて答えた。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加