初めての飛び込み営業

1/1
前へ
/158ページ
次へ

初めての飛び込み営業

与えられた営業車での営業周りがスタートした。 車に乗り込むとき、経営者がタバコをふかしながら 「がんばってね、結果しか望まないので」 、と。 その言葉が、車をスタートさせてからグルグルまわる。 30分ほど運転して、着いた場所が初めて飛び込み先に選んだ会社だ。 比較的、業界内では優しい対応をしていると触れ込みがあるので、飛び込んで行っても大丈夫だろう、と勝手に想像させ選んだ。 そこは駐車場がないため、道の邪魔にならないところに駐車。 ハザードをたく。 先ずは深呼吸を一つ。 名刺入れはスーツの内ポケットに入れる。 会社案内と簡単な取説を一部セットにして、車を降りる。 ラッキーな事に、雨が止んでいる。 徒歩で飛び込み先に… … … やっぱり怖い。 入る勇気がないのだ。 飛び込む勇気がないのだ。 しばらく心の中で押し問答が始まる。 「行かなきゃ、何も始まらないだろ?」 「イヤイヤ、営業周りなんてやったことがないから、ムリ」 「ムリだなんて、やったことがないのに考えるなよ」 「いや、ムリムリ」 雨がポツリ、ポツリと降り始めてきた。 あまりにも長時間立っているのも、怪しいよなぁ、と。 車に引き返すことに。 弱いじゃん、自分。
/158ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加