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言えない
ぺちゅ… くちゅり…
深夜の独身寮の一室。静寂の中、湿り気のある物音が響く。
「…ぁ…っ!!」
微かな悲鳴と共に物音は止んだ。
「船山ぁ…、お前は加減が下手だね…」
光沢のある黒地のすっきりとしたマオカラートップスの胸元に、飛び散った白濁。
粘り気のある液が、体型の割には男らしい手指から零れ落ちる。
つい夢中になって止まらなくなってしまったのだろう。
「ちっ…!顔だけなら拭けば済むのに、服にまで。」
「す、すいません…」
ブツクサと文句を言う俺に濡れタオルを手渡すと、船山は乾いたペーパーで服に付いた飛沫を拭おうと胸元に触れた。
「あーこら!塗り伸ばすんじゃ無いよ、ペーパーで擦ったりしたらカスが白浮きするだろ。コレで拭くからいいよ。」
今しがた顔の飛沫を拭き取ったタオルの面を変え、派手に散りばめられた白い跡を拭い取る。
内心、(…船山、ちょっと濃いんじゃないの?コレ)と軽く呆れたが口に出しては言わずに置いた。
普段着が汚れるのは想定内だが、美しく着こなしたいお気に入りの一着。腹が立たないわけでは無い。
だが、可愛い後輩は自らの粗相に動揺しているようだし、目くじらを立てるのは性に合わない。
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