4時間目「理科」→「給食」

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
━━━━「はいっ!では、今日は約束通りいつもより早めに始めたので、1分前に授業を終わりますー!それじゃあ、級長さん、お願いしますー。」 と理科の先生が言った。私は、まだかまだかとその言葉を待っていた。元気よく、それで持って20年はある経験のもと威厳ある物言いで、先生が級長さんに言い放った。言われた、級長さんも、それに応えるようにクラスのみんなに朝を知らせる鶏のごとく号令をかけ、4時間目の授業は終わった。何とも、嬉しい限りだ。私には、束の間の休日の朝のように思えるのだ! 机に広がった、ただ黒板を書写のように移し書いたノートやら眺めるだけの退屈な写真がたくさん乗ってある教科書やらを丁度片付け終わったところで、向かいの席の親友の「さなりん」こと沙奈が声をかけてきた。 「ねぇ、今日の給食ってなんだっけ?なーちゃんわかる?」 「えーっとね。何だろねー。沙奈はなんだと思う?」 「私?卵スープかな!」 2年3組、31名のみんなが立ち上がって教室から出ようとする足音や、声、制服の布が微かに触れ合う音。そんな、沢山の音は少し騒々しく思えて、私は少し早足になった。 「おいおい、そこはメインを言うとこでしょー!」 少し騒々しい音の中に私のツッコミと沙奈の笑い声が入って、また少し騒々しくなった。沙奈も私と同じ思いなのか、廊下を理科の教室と私たちのクラスのある場所まで少しばかり早足で移動しながら話す。 「じゃあ、私の番だね。んー、なんだろー?ちょっと待ってね…。」 「え、なに。めっちゃ本気じゃん。」 と、何気に軽く引いている沙奈の声がした。 私は、お風呂上がりのむわっとした空気に似た風に恐らくカレーのルーからの匂いが混じったスパイスな香りの風がした。それから、予想した答えをそのまま口にした。 「分かった!カレーだ!やったー!!!」
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!