一日目 出会い

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「もし犯人なんてものがいるとしたら、かなり猟奇的ですね。被害者に共通点がなさすぎますから。しかも、日本全国で同様の事件が起きているのですから、犯人は組織なのでしょうか」 「でも、不思議だね。あれだけの大爆発を起こしておきながら、本人たちは命どころか、傷一つついていないなんて。奇跡としか言いようがない」  今日の俺の耳は絶好調らしい。知りたくない情報ばかりを集めてきて、俺の脳を無駄遣いしていく。  はっは、今回ばかりは聞き間違いだよな?と淡い期待を抱きながら、恐る恐るとテレビの画面に視線を向ける。そこには大きく『全国各地で人が謎の爆発!これはテロなのか、祟りなのか!』とテロップが出ていた。  一度メガネを外してレンズを拭いて、画面を再度確認する。どうやらメガネは正常のようである。 「嫌ねぇ~、人が爆発するだなんて。でも、幸いにも死傷者はいないってことは爆発しても安全ってことかしら?」  母さんが暢気に少しピントがずれた感想を洩らしている。俺はその後ろで先程吸収した水分を冷や汗として放出する。  いやいや、そんな人が爆発するような事が全国各地で起こるだなんて、そんな馬鹿な話があるわけ……ないよね?きっとマスコミが似たような事件を適当に並べて面白おかしく報道しているだけだよな?     
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