一日目 出会い

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「あら?近所でもあったそうじゃない。最近、この辺も物騒になってきたのかしらねぇ。あら?仁くん、すごい汗かいてるけど、どうしたの?」 「ちょっと走って暑いだけだよ、ははは……」  俺は手早くペットボトルを冷蔵庫の扉に片付けると、母さんの脇を抜けて、鞄を拾い上げ足早に自室へと逃げ込んだ。  どういうことだよ、いったい。ミナは言ったはずだ、俺が願ったから爆発したんだと。別にそれを信じているわけではないけど、それがもし奇跡的確率で本当だとして、その影響が全国に広がったってか?ない。それは絶対にありえない。きっとマスコミの陰謀か何かだ。ネットは真実を知っているはずだ。  自室のドアを後ろ手で閉めると同時に、部屋の自作タワー型パソコンとモニターの電源を入れる。黒く死んでいたモニターが息を吹き返すようにOSのロゴを映し出す。 「さっさと起動しやがれって」  着替えることもせずに鞄をベッドに放り投げると、パソコン前のハイバックチェアに座り込む。ハードディスクドライブがカリカリと音を立てて、徐々にパソコンが起動していく。 「よし、まずはネットで情報収集からだ」  起動したてでまだ少し重いパソコンに鞭打ちながら、インターネットブラウザを立ち上げてニュースサイトやブログ、掲示板を検索していく。     
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