2人が本棚に入れています
本棚に追加
二日目 疑問
人は夢を見る。それは記憶の整理であったり、深層心理の表れだったり、霊的なお告げだったり、いろいろと言われていたりするが、実際はいまいち分かっていないらしい。
俺は夢に思い入れは特にない。どうせ見たところで起きてしばらくすれば、忘れるようなものだ。そんなものはないのと同じじゃないか。
しかし、今朝の夢だけはずっと頭にへばりついてなかなか離れないでいやがる。断片的にしか覚えていないが、それがずっと頭の中で永遠リピートされている。
「ああ、面倒だ」
面倒だといえば、今朝の教室は本当に面倒でしかない。どこもかしこも昨日起きた爆発事件の話で持ちきりである。何年の誰と誰のカップルが爆発しただの、病院に運ばれたけど無傷ですぐに退院しただの、彼氏のほうは他にも女がいただの、彼女は援交していただの。あることないことが噂として教室だけでなく、学校全体を駆け巡っている。
「軍曹、掲示板は見たかね?」
「ああ?」
それだけで世の女性を虜にできそうな声が聞こえたので、机に伏せていた頭を上げて話しかけてきた主をダルそうに見る。俺を「軍曹」などと呼ぶ人間は一人しか知らない。
「なんだい、なんだい。お疲れだね」
最初のコメントを投稿しよう!