プロローグ

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 そんな人の気も知れずにカップルはイチャつき続ける。完全に二人だけの世界にトリップしてしまっているご様子だ。 「このリア充が」  聞こえないよう細心の注意を払って吐き捨てる。 この場に拳銃とリア充を撃っても罪にならない法律があるなら、歴戦のガンマンも真っ青な早撃ちを披露してみせよう。しかし、あいにくと現代日本は銃社会でもなければ、そんな法律ももちろんない。平和大国、日本に感謝するんだな。  日本の素晴らしさを微塵も感じていないカップルどもは見せ付けてやるぜ!ってくらいイチャイチャと一つの携帯電話を二人で覗き込んでいる。 「リア充、爆発しろ!」  恨みを込めて忌々しく呟く。そう、俺は呟いただけだった。  突然、目の前のカップルが轟音で周りの騒音をかき消し、輝く光で辺りの視界を奪い―― 爆発した。
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