2人が本棚に入れています
本棚に追加
爆風でずれたメガネを直しながら慌てて否定する。あまりにも不自然だったため、別に意味で心配されそうになる。
「君、本当に大丈夫かい?」
「ははっ、だいじょう……大丈夫です」
乾いた愛想笑いを浮かべながらも、冷や汗が俺の顔や背中を滴り落ちていく。声をかけてきた男性は少し不審に思いながらも「そうかい」と納得はいっていないようだが、深く関わりたくないとも言いたげに少し距離を取る。
正直、大丈夫なわけがなかった。いや、別にどこかを怪我したとかではない。俺自身もメガネも月雲ストラップも傷一つない。
思い出してしまったのだ、爆発する前に呟いた言葉を。
『リア充、爆発しろ!』
いやいや、まさか、そんな言葉でリア充が爆発したら、日本中のいたるところで爆発が起きているっての。そんなわけ……そんなわけ……
「おい、君、どこに行くんだね」
さっき声をかけてきた男性が驚きながら引き止めてくるのを振り切って、俺は騒がしくなったその場から走り出した。
自慢じゃないが、体力に自信はない。それでも全速力で駆け出した。人だかりを掻き分け、ぶつかりながら走った。つまりところ、怖くなって逃げ出した。
最初のコメントを投稿しよう!