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遠くからパトカーや救急車のサイレンが忙しなく聞こえてくる。走っている間にも幾台もすれ違った。日本の警察と緊急医療は仕事熱心のようだ。いつの間にか町全体が騒がしくなってきているような気がする。
目的もなくただがむしゃらに走ってしまったため、ここがどこだか分からない。見たことがない景色が広がっている。あがった息を整えながら、ふらふらと疲れて動きが鈍くなった足をゆっくりと動かす。
「こんなところに神社?」
住宅街を抜けると、少し開けた場所に古ぼけた神社がひっそりと佇んでいた。まるで地域住民に忘れ去られているように、静かに自分の時間を刻み続けている。
「こんなところに、神社があったんだなぁ」
神社の鳥居をくぐり、狛犬に睨まれながら境内へと入っていく。
こう見えて、俺は神社に目がない。正確には神社にいる巫女さんに目がない。あの朱色の袴の神々しさ、白衣から溢れる清らかさ。そのすべてが美しい。単純に言えば、巫女萌えなのだ。巫女さん、最高!
だから、神社を見つけるたびに、巫女さんに出会えることを祈りながら境内を徘徊するようにしている。変質者じゃない、ちゃんと神社そのものにも一応、興味はあるから。
そんな感じで先程までの疲れを若干忘れた都合のいい足は軽快に境内をずかずかと歩いていく。古ぼけて寂れてこそいるが、手入れはそこそこに行き届いているようである。これは巫女さんがいる確率が高い。
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