プロローグ

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プロローグ

 俺はただいつもの通学路を歩いていただけだった。学校から指定された道を、駅まで続く歩道を急ぐわけでもなく自分の歩幅でゆったりと歩いていた。何も代わり映えのしない退屈な風景をぼんやりと眺めながら。  いつもと変わらなかった、今までと同じようにしていたはずなのに、なのに……目の前で爆音と激しい光を伴ってすぐ前を歩いていたカップルが爆発した。  今日は朝から嫌な事が続いていた。 寝癖はなかなか直らなかったし、玄関を出たら黒猫が横切っていったし、授業では俺の分のプリントだけ足りなかったし、弁当には嫌いなにんじんが入っていた。 昼からだって嫌なことが続いた。 昼休みに図書室に行くと騒いでいるグループがいたし、移動教室になったことを誰も教えてくれなかったし、可愛らしい便箋に書かれた不幸の手紙が靴箱に入っていた。 一つ一つを見るとたいしたことじゃないが、こうも連続して続くと何かの陰謀だと思えてくる。俺が何をしたっていうのだ。 「ただ俺は、俺の好きなことをしてるだけなのに……」     
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