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魔物を支配する……セカンディラードの呪縛。力でもって支配する、この黄緑色の金属の装飾具は魔物を縛る牢だ。これがあるからセカンディラードは魔物の主である。全てを支配した証だ、命を指の一指しで奪う事も出来る。
そのような暴力で縛りあげている、しかし。
この、灰色の子供にも施す必要があっただろうか。そして同時に……今自分に背を向けて様子をうかがっている有能な片腕、ダルクの耳元に同じものが光っているのをぼんやり見ている。
鎖や首輪、籠が無ければ。
愛していても、信頼を置いていても、魔物をそばに置くことが出来ない。
無用に魔物距離を縮める事を人は、良しとしない。恐れているのだ。
セカンディラードは目を伏せた。
私が、魔物に近づく事を。
……ふっと、ネスから嫌味を言われた事を思い出す。
ネス・ランバルトにはニルスという姉がいたが、彼女は姉が大嫌いだといつも言い張る。理由はよくわからない、知りたいとはセカンディラードは思わない。
病弱で儚い、今にも消え入りそうなニルスを愛していたセカンディラードは、何かと突っかかってくるネスの事は大嫌いだ。
ダルクはその様子に苦笑しながら言っていた。
ネス様はニルス様をお嫌いなのではないのですよ、逆なのです。愛しておられるのです。
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