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悪意を隠しもせず、ネス・ランバルトは呻いて自らが飼う明るい茶色の小さな子犬を抱き上げた。
「貴方って本当に良いお趣味をしてる」
「……」
一番言われたくはない人から、言われる、予測していた言葉。
「姉さまへの中て付け?」
小さく口の中で囁いた言葉を感じ、セカンディラードは目を細めた。
そうだ、否定しない。
セカンディラードはよっぽど、その通りだと言ってやろうかと口を開きかけたが……隣で意味を理解せず、再び足をばたつかせ始めた少年を見て……止めた。
それでも、この小娘をやり込めてやりたい気持ちが擡げてセカンディラードは小さく唇を湿らせてから口を開いていた。
悪意をぶつけてこの胸に宿り続けるほの暗い気持ちを吹き消したい、そう思っているのは貴方だけではない。
それはまた私も同じだと、そう教え込んでやりたいという気持ちが、セカンディラードの暗く沈んだ感情をやや熱く興奮させる。
「……お嬢様は……」
途端物騒な音が遠くで響いた。
遅れて、悲鳴。
ああ、……おのれダルク。
正直その瞬間セカンディラードはそう思った。
せっかくこれからこの小娘をやり込めてやろうと思ったのに、お前はまた余計にも私を止めるのか。
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