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「ふふ。でも父さんは趣味が多いから画集も小説も山ほどある。絵が好きな香音にとったら宝の山だよ」
さらりと香音と呼び捨てにされた、香音は顔が火照る気がした。
「漫画は?」
「あるよ。とりあえず上がって。今は父さんも母さんもいないから緊張しなくていいよ」
香音は、靴を脱ぎ、礼恩の後をついていく。
よそ行きの服で来たのだが、絵画展もよそ行きの服なので、礼恩は気づかないかと再び残念に思う。
「あ。それから僕の家に来るとき、わざわざ、よそ行きの服じゃなくていいからね」
気づいてくれていたのは嬉しいが少しだけ香音は複雑だ。
「だって……」
「これから、いっぱい来るんだから。香音はちゃんと可愛いから問題ないよ」
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