五月

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香音の顔は再び熱を持つ。 この人は本当に『王子様』なのだろうかと嬉しくもあり恥ずかしくもある。 「……早く画集見せて……」 「分かった」 礼恩は、香音を自分の部屋に連れていく。 香音の部屋と大して変わらない広さの部屋。 ベッドに机に本棚にタンス。 小綺麗に片付いた部屋の真ん中に山と積まれた画集。 「わぁぁ!見ていい?」 「そのために来たんでしょ?」 有名な画家の画集もあれば、イラストレーターの画集、絵本もある。 「画集って高いから、なかなか買えないの!礼恩くん、ありがとう!」 次から次へとページをめくる。 ゴッホもピカソもゴーギャンも、香音が憧れていた画家たちの絵がそこにある。
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