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夢中に画集を見つめる香音に礼恩は、お茶や菓子受けを出すが、香音は全く気に止めない。
その姿を礼恩は嬉しそうに見ていた。
「僕、ちょっと勉強するから、飽きたら教えてね」
礼恩の言葉に香音がぴくりと顔をあげた。
「飽きることなんてないもん!でも礼恩くんが勉強するなら、私もする!」
「えっと、参ったな。僕は今、高校で習う勉強をするのだけど……」
「え?小学生なのに?」
こくんと礼恩は頷く。
「いつか父さんの会社を継ぐから、その時に迷惑かけないように出来るだけのことはしなくちゃね」
「……礼恩くんとは、やっぱり住む世界が違うのかな……」
少しだけ泣きそうになる香音。
その頭に礼恩がぽんと手を置いた。
「そんなことないよ。いいよ。香音に勉強教えてあげるから毎日おいで。僕の息抜きにもなるから」
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