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香音と約束した日の夜。
礼恩は、母の洗い物の手伝いをしながら、今日あったことを話す。
「明日から毎日、僕に勉強を教わりに来るんだ」
笑顔の礼恩に母もそれを聞き耳を立てていた父も笑顔を見せる。
「礼恩は勉強ばかりだから心配だったよ。礼恩はまだ子供なんだからな」
「大丈夫だよ。僕だって……」
父の言葉に被せるように言いかけたが、父は更に被せてくる。
「私は礼恩に勉強しろだなんて一言も言っていない、勉強に専念するため友達から離れたいと言った礼恩が心配なんだよ。勉強よりも私は友達のほうが大事だと思うからな」
礼恩は洗い物を終えて、父が座るソファの隣に座る。
「みんなとは、ちゃんと連絡とってるから。それに父さんの跡を継いだら、父さんの二倍、ううん三倍は努力しなきゃ同等にはなれないんだ……」
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