四月

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決して褒め言葉ではなく、回りを見ない世間知らずという意味が込められたあだ名だ。 礼恩は知ってか知らずか目にくまを作り参考書を睨み続けた。 香音にとっては学年の違う礼恩が回りから、どう言われているか知ることはなかったが、朝、参考書を片手にふらふらと歩いてくる礼恩を見かけるとその日一日良いことがある気がした。 理由は、どうあれ『王子様』と呼ばれる男の子を見かけるのは、少しだけ胸が高鳴る気がした。 『王子様』は、ランドセルを背負って、同じ学校に通っている。 そんな共通点を見つけるだけでも嬉しくなるのだ。 現代の『王子様』は城にはいないと。
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