67人が本棚に入れています
本棚に追加
「あのぉ、 オススメの料理本有りますか? 」
年配の女性に聞かれたのは、 近衛 優一18歳だ。
「僕のオススメで良ければ2つ程ご紹介致しますけど……」
優一はこの本屋で働く大学生で、 眼鏡が良く似合う優しい顔の持主だ。
だが、 優しいのは顔だけでなく、 性格もなのだ。
子供の面倒見も良く、 頭が良くて物覚えが早い為、 店員達にもお客様にも人気なのです。
「けっ、 どいつもこいつも人を女だと思いやがって」
ん……またお兄ちゃんは客にモテてるのか、 ご苦労様な事ですね。
あ、 どうも。 俺は近衛優李。
中学3年生の14歳です、 ついさっき俺を女と間違えた奴等と喧嘩して来たんだけど、 頬に傷を作っちまった……バレないように部屋に行かないと。
ここは本屋でもあるけど二階は俺達の家でもある。
親父達はもうどこか行っちまって2人暮らしなんだ。
「あ、 優李! 帰ってたんだ、 何で言わない? 」
げぇっ! バレちまった! お兄ちゃん意外と気付くの早いんだよなぁ。
とりあえず頬を隠してと……。
「お兄ちゃんが客と会話してんのに、 話し掛けられる訳ないだろ! 」
「ああそっか……あ、 お客様」
う、 続いてババアまで来たよ……一応挨拶しねーとな。
「どうも、 毎度ご利用頂きありがとうございます」
俺が満面の笑みを見せると、 客には目を輝かせて俺を見る。
うげ、 気持ち悪……。
「何この子可愛いわね! 妹さん!? 」
んだとこのババア! ……って叫びそうなのを俺は我慢した。
殴るのもな。
お兄ちゃんは咄嗟にババアの肩に手を置き、 誤解を解く。
「あの、 この子男の子なんです。 弟ですよ」
「あら、 そうなの御免なさいねぇ」
ババアは本当に申し訳無さそうに深々と頭を下げた。
今までの奴等より断然礼儀正しいな、 許してやるか。
「大丈夫ですよ。 よく言われるんで」
「それにしても本当に女の子みたいねぇ、 女装させてみたいわ! 」
前言撤回、 死ねババア。
俺がキレ始めたのに気付いたのか、 お兄ちゃんは客と俺を引き離した。
初めからそうしろよな。
「ごめんね優李、 嫌な思いさせ て」
最初のコメントを投稿しよう!