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「いや、 知ってしまったって言った方が合ってるかな。 あのね、 今から約5年前に優李の寝言を聞いたんだ」
「寝言……? 」
もしかして愛の告白とかしちゃってた? だとしたら忘れてて欲しいんだけど。
「『お兄ちゃん大好き、 僕が女の子だったら』って、 そう言ってたんだ」
思いっきり愛の告白してたよちくしょう! あー恥ずかしい本当に最悪だ!
お兄ちゃんは俺の手に大きな手を重ねてきた。
「へ? 」
「僕もずっと、 優李が好きだった。 愛してるよ、 今でも」
「え!? あ、 は、 え!? 」
俺は自分の顔が全力で赤くなって行くのが分かった。
今きっと、 顔ヤバいだろうなぁ……そう思いながらも、 真剣な眼差しを向けて来る兄から眼を反らせなかった。
後出しはずるいだろ……。
こうして俺とお兄ちゃんはヒミツの関係にと変わった。
────それから1年が経ち、 俺は高校1年生になった。
「な、 な、 何でだああああああああ!!! 」
本屋の近所にまで俺の叫び声は届いていた……今思うととてつもなく恥ずかしいな。
部屋の扉を開け、 兄が眠たそうに入って来る。
「どうしたの? 優李、 まだ5時にもなってないよ? 」
「お兄ちゃん見てよ! これ! 身長計!! 」
「145㎝か……うん、 去年から少しも伸びてないね」
「何で笑顔なんだよ! 嘘だろ!? これで身長終わり!? 小さ過ぎだろ! 」
俺は叫び終わると床に倒れていた。
何だよ145㎝って……女子よりも小せーじゃんか。
しかも……。
俺は鏡を見、 『あー』と声を出してみる。
「女じゃねーか!! 」
お兄ちゃんが伸ばして欲しいと言ったから髪を伸ばしたは良いけど、 見た目は完全に女だし、 声変わりしたのに逆に女らしい声になってしまった。
これじゃ一目で男って分かった奴がすげーよ。
「うん、 可愛いよ優李。 さ、 学校行こっか」
俺に恋したお兄ちゃんは可愛くて喜べるんだろうけどね? 俺にとってはコンプレックスなんだよ? 分かるこの気持ち?
「……でもこれでお兄ちゃんと居たらお兄ちゃんによる女が居なくなるかも……うーん……」
暫くこれで行くか……はぁ。
それにしても、お兄ちゃんはよりカッコよくなってるし。
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