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震えてる俺を見てお兄ちゃんは頭に手を優しく置いてきた。
「優李が傷付くのを見たくないんだ……もう喧嘩なんてしないで」
俺はその言葉に対して心が落ち着いたのではなく、 逆に怒りが出て来た。
好きで喧嘩してんじゃねーんだよ……分かんねーだろうな立派な男にはよ!!
「身長も低い、 力も無い、 頭も良くない……おまけに女みたいだ……! そんな俺の気持ちなんてお前が分かるかよ……!! 色んな人らに頼りにされてる奴に俺の気持ちなんて分からない!! 」
俺は兄にバッグを投げつけ部屋に籠ってその日は顔を合わせなかった。
──何であんな事をお兄ちゃんに……お兄ちゃんは優しいから、 ただ俺を心配してくれてただけなのに……分かりきってる事で怒ってしまった。
きっと嫌われた……これを機会にこの関係を終わりにしようか……。
コンコンッ。
「優李、 さっきは何も分からずに勝手な事言ってごめんね。 だけど、 僕は本当に優李が大切だから……何か有ったら真っ先に頼ってね。 じゃあ、 お休み」
ドア越しに聞こえた兄の声はとても優しくて、 本当に自分を大事だと思ってくれてる事が分かった。
その優しさが温か過ぎて、 俺の瞳からは涙が零れ落ちた。
──翌日。
「お兄ちゃん、 昨日はごめんね……お兄ちゃん? 」
ドア越しに兄を呼ぶが反応が無い。
俺は何かが気になってドアを開ける。
「入るよ」
「ああ……優李入って来ちゃダメだよ。 風邪うつっちゃう」
風邪!? お兄ちゃんが風邪をひいた。
俺はお兄ちゃんの額に手のひらを乗せる。
「熱い……! これ高熱じゃん! 何で言わないの!? 」
俺が怒鳴ると、 兄はゆっくりと微笑んだ。
「優李に……心配させたくなかったんだ……」
バカじゃねーの……!? 何でそんなトコまで気にしてんだよ……!! 俺らは兄弟だろ!?
俺は両拳をギュッと握り締めて、 兄に向かって再び怒鳴った。
「俺達は……! 恋人だろ!? 」
俺はそれだけ言うとすぐに出掛けた。
自宅謹慎なんて気にしてられるか! お兄ちゃんは俺のこの世で1番大切な人なんだ! 俺が看病してあげなきゃダメなんだ!
俺は出来るだけ効果の分かる薬と大量のスポーツドリンクを買って来た。
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