東雲

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彼女は見覚えのある手袋を持っていた。 知らないうちに落としていたようだ。 「私のです。ありがとう」 咄嗟に礼という感情表現が出来なくて少し悔しかった。 一方彼女はにこっと素敵な微笑みを見せた。 寒い早朝にはとても暖かく、まだ日が昇りきっていないせいか眩しかった。 その後は当然だが話すことは無かった。 駅に近づくにつれ景色が変わってくる。 建物が空を見辛くするが、時折建物の隙間から反射して見える焼けた雲は、威光を増していた。 06:02
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