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「みゃー」
気のせいかと思ったがそうではないらしい。でも他の人は気づいていない。
ぎゅうぎゅう詰めの狭い車内で私は必死に声のする場所を探した。
「いた!」
荷物置きの上でじっとこちらを見ている子猫を見つけ、呆然とした。
平日の通勤通学ラッシュの地下鉄内でなぜ子猫がみゃーみゃー鳴いているのだ。首輪もないしどうやら野良らしい。
「みゃーお」
その鳴き声で私は思わずその子猫を抱き上げてしまった。相変わらず周りの人はノーリアクション。
「次は~横浜ぁ~、横浜~。」
いろいろ不思議に思っていると電車は学校の最寄り駅に着いてしまった。
私は焦って、とりあえず子猫をスクールバックの中にそっと移した。
「どうしよう、学校に子猫連れて来ちゃった…。」
私は正直焦っている。子猫のことを誰に相談しよう。まだ高校で友達も出来ていないし、同じ中学出身の人もいない。それに私は友達をつくるのが苦手だ。
でも子猫を拾ったことに後悔はしていない。それだけは確かだと思う。
とりあえず担任の先生に相談してみよう。
そう思い職員室に向かおうとしたその時――。
「君、その猫どうしたの?」
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