2話 妖精

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「はぁ…はぁ…ギリギリセーフ、だよね?」 私たちは教室に駆け込み、それぞれの席に着席した。 「よし、全員出席っと。じゃあホームルーム始めるぞー。」 担任の小田先生は新任で大学を出たばかりの若い男性だ。 先生の自己紹介が終わると、今度は生徒の自己紹介が始まった。 「じゃあ番号順に名前と何か一言言ってもらおう。」 順調に自己紹介が進んでいく中、私は自己紹介が苦手なので何を言おうか考えていた。 「榎戸 周です。生き物が好きです、1年間よろしくお願いします。」 パチパチパチ… 「榎戸くん落ち着いてるなぁ。」 私は自己紹介とさっきの榎戸くんの言った、この子猫が妖精だということで頭がいっぱいだった。 スクールバックがゴソゴソ動いている。 「ごめんね、もう少しで終わるから…。」 私が子猫に小さい声で話すと、 「ねーねー、次君の番じゃないのかい?」 幼児のような声でそう言われた。 「えっ、あっ、私、椎菜 涼美といいます。えと、1年間よろしくお願いします!」 「しつもーん。榎戸くん?だっけ、さっき一緒に走ってきたけど、どういう関係なの?」 「私も気になるー!」 「俺も俺も!」 なんだか騒がしくなってきた。
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