145人が本棚に入れています
本棚に追加
/205ページ
「あっ、思い出した。美空ちゃん聞いてよ」
「何ですか?」
「美空ちゃんが中学三年生の時の文化祭、覚えてる?」
「凍夜くんや黒崎さんが執事喫茶をやってましたよね」
「後夜祭で凍夜との約束の時間に遅れたでしょ?」
そうだった。色々あって辛かったけど、茜ちゃんと真司くんが急接近したから、今では良かったと思ってる。
「おい、詩織」
「あら、いいじゃないの。黒崎くん、真司くん、凍夜を拘束して」
「お任せを」
「バカ、お前らやめろ。放せって!」
「あの時ね、凍夜は必死に探してたのよ。私にも声をかけて……美空を知らないか? 俺、美空に嫌われたのかも……そう言って、泣きそうな顔をしてたの」
「おい、やめろって。美空、信じるな」
顔を真っ赤にしながら否定してる。凍夜くん、可愛い。
「他にも面白い話があるのよ。凍夜の小学生だった時の話とかね」
「いい加減にしないと怒るぞ」
「落ち着け、凍夜。向こうで男の友情を育もうじゃないか」
「凍夜さん、もう放しませんよ」
「お前ら、酔いすぎだ。ちょっと、待て……」
連れていかれてしまった。
まあ、いいか。凍夜くんは幼い頃の話をあまりしないから聞きたいし、茜ちゃんも興味津々で目を輝かせている。ここからは女子会でいこう。
「詩織さん、話の続きは?」
「そうこなくっちゃ。あのね……」
……
……
これは、凄い話を聞いてしまった。
凍夜くんの小さい頃って、そんなに可愛かったんだ。
最初のコメントを投稿しよう!