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手術室は、医療系ドラマで見たことのある光景そのもので、準備を始めている看護師スタッフの慌ただしさに圧倒されて、周りを観察した。
ひゃっとする冷たい手術台に寝そべると、思ったより幅が狭くて落ちやしないかと心配になった。
でも、そんな私を支えるように、これから処置してくれるスタッフたちが、横に立って柵のように囲って腕に血圧計を巻き付けたり、足には血液循環ポンプを装着してくれている。
天井を見ると大きな丸いライトが照らされている。これも、テレビで見たことある光景そのものだと思った。
昨夜の麻酔科医が、すぐ頭横で点滴の速度を変えるのにチューブに触れながら、顔を覗かせた。
『今日はよろしくお願いします。不安な事があればすぐに声かけてください。麻酔が効いてくると吐き気がする事もあるから遠慮せずに声かけてくださいね。』
「わかりました。よろしくお願いします」
横向きで背中を丸くしてと、指示されて、大きなお腹を抱えるように無理な姿勢で精いっぱい背中を丸めた。
『ではさっそく麻酔を始めますね。』
消毒綿で拭かれた箇所に激痛がきた。
あまりの痛みに、
「んっ!」
と声がもれてしまうと、
『もう少しです。頑張って。』
とさらに複数のスタッフにダンゴムシのような体制にさせられ体を丸く固定された。
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