「かわいい」と言われたい

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「あ、イテテ・・・誰か!誰かいない!」 コードネーム222S230は任務を終え、ロッカールームでスーツを脱いでいたが、後頭部でファスナーが引っかかってしまい、あげることも下げることもできずもがいていた。 「どうしたんだよ。S230」 「ちょっとファスナーが髪に引っかかって・・・取って。」 「仕方ねぇな・・・」 通りかかったL560がファスナーに絡まった髪を丁寧に解いた。 「ほらよ。」 「ふぅ~サンキュ!L560…やっぱり君か。助かったよ。ありがとう!」 S230はやっとスーツを脱ぐ事が出来た。 髪の色は晴天の空よりも輝く、コバルトブルー。 彼の居る星でも珍しい、十億人に一人の特別色。 色白の彼にとてもよく映える。 「相変わらずの別嬪だな。」 そう、彼の美しいのは髪だけではない。プルプルと震えるようなゼリーのように張りのある極目細かな肌。凛とした弓なりの眉の下には、切れ長のまなざし。 瑠璃色に輝く潤んだ瞳に見据えられると、サボテンの棘すら一瞬にして抜け落ちるほど・・・甘く 熱い・・・ フリージアのつぼみのように膨らんだ唇は薄い桃色。 長い手足に、細く薄い体。だがそこにしっかりとついたしなやかな筋肉。 彼の自慢は、その美しい姿勢を維持するために鍛えた少し反った背筋と痩せた体に不釣り合いな上腕二頭筋。 そう、彼はまさに全宇宙の中でも極めて希少な、ナルシスト星からやって来た絶滅危惧種、絶世の美男子星人。
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