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「よっコラショっと・・・・」
そんな美しい彼が、どうしてこんなむさくるしいロッカールームでくそ熱い全身スーツを脱いでいるかというと・・・
それは、彼が全宇宙防衛軍 警備部警備課要人保護の任務が今、終了したところだからだ。
彼はその美しい容姿を隠すため「ふつうのおっさんスーツ」を着用し任務にあたる。この「ふつうのおっさんスーツ」失くしては、彼の仕事は成り立たない。なんせ、その特別美しい容姿の為、保護する要人よりも数千倍も目立ってしまうから・・・
前に一度、任務で雨が続き、「ふつうのおっさんスーツ」の替えがなくなり、サングラスでいいだろうと言うことで、安易に素顔にサングラスで任務にあたったところ、保護すべき要人からその周辺住民に至るまで、報道部から道路整理に当たっていた地方警察の面々まで、敵も味方も男も女も、そこら辺にいたすべての人間も、テレビを見ていた視聴者までも、きゃあきゃあと彼に群がり、二進も三進も、どうもこうも、猫も杓子も何が何やら訳が分からず、這々の体で逃げ帰ってきたことがあった。
「お前・・・大変だな・・・いっそモデルか俳優にでもなったらどうだ。
それに、その見た目ならそれなりのところに貰い手もあるだろう…
どう考えてもお前は守る側より守られる側だよ。」
「いやだね。俺は子供のころから、誰かを守ることを夢見て来たんだ。
この仕事があると知った時から、これが俺の夢になった。夢がかなった今でも、この夢を守る続けるためなら、どれほどの努力も惜しまないさ。」
「あのさ・・・・いや、なんでもない・・・・」
手をぐっと握り熱弁を振るうS230に、L560が本当に言いたかったことは・・・
(お前を守るために周りは結構、迷惑してるんだぜ・・・)
だが、S230の瞳がL560をとらえると、次の言葉が出なくなった。
しかも問題は、S230はその熱い想いとは裏腹に、思ったほど使えないヤツだというところにある。
「ふつうのおっさんスーツ」が熱くて長時間の勤務ができないのだ。
30分に1度、夏には15分に1度休憩に行ってしまう。
一度休憩に行けば30分から40分は戻らないという、超わがまま勤務。
そして、それで迷惑を被るのは、当然、一番近くにいる彼!L560
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