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カチャカチャとキーボードを叩く音と、江崎さんがついでとばかり色々質問して教えてもらっているのを聞きながら、人員のデータをこっそり開く。
……そうか。システム課は常駐の外部の人も居るから、この人社員じゃないんだ。
サーバー室の、鹿野昭。この人かな。
「あ!直った。良かったぁ。なんかヤバいことしたかと思って」
江崎さんの大きな声が聞こえて、わたしは画面を閉じた。
「涼子。大丈夫だった。ありがとう」
「はい。良かったですね」
わたしと江崎さんの間に立って、笑いながら鹿野さんは言った。
「パソコン普通に立ち上がっただけでそんなに喜んでもらったら何よりです。『涼子』さんは何か困ってること無いですか?」
「はい?」
名前って……今江崎さんが言ったからだろうけど。
「あ。あれ聞けば?エクセルのほら、なんかやり方分からないってこの前言ってたやつ」
江崎さんが言うと鹿野さんがこちらに体を向けたけれど、彼が口を開く前にわたしは言った。
「いえ、大丈夫です。あのあと調べて分かりましたから」
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