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「――――じゃ、先、風呂行ってこい。脅かしたけど、ゆっくりでいいぞ」
来たのは、この前とはまた違うけど、高台にあって湾岸の夜景が見えるホテルで、ツインのベッドはセミダブルくらい。チェックインは彼がしているから金額は分からないけど、多分いい部屋の部類だと思う。
いきなり襲われるのかと思ったら、そういうことはなかった。
髪を洗って、お湯を溜めたバスタブに浸かると、自分の体が目に入る。
見たとこ、特に痩せたとか太ったということもないし、変わらないと思うけど。『美味そうな』って……。
ばしゃ、とお湯を顔にかけて溜息をつく。
あの言い方だと、わたしが変わったから、虫が、っていうのは鹿野さんのことだろうけど。でも、椿田さんと居る時以外は、別に前と変わらないつもりなんだけど。
確かに、今まで知らなかった感覚をあれこれ体に覚えさせられた分、前より余計に反応してしまったりはある。けど、それは椿田さんだからで、他の男の人に同じことをされてもそうなるわけじゃない。
男に慣れたら、若い奴に譲ることになるかと思ってた。
って、彼が言っていたのがそういう意味のことだったなら、わたしの体はそんな単純なものじゃない、と怒ってやりたい。
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