【29】

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   そのうち言われるだろうとは思っていたけど……。 「うん。あの、そんなにたくさん吸うような人じゃないけど、やっぱり部屋に居ると」 「あんたも嫁入り前の体なんだから、副流煙とか色んな害があるんだから、あんまりそういう人とは」  分かって言っているのか。それとも女性の先輩としての話なのか。  勘繰ってしまうと答える術が無く、黙っていると 「涼子がどんな人と付き合おうが、涼子の決めることだろう」 なぜか父が助け舟を出した。母の矛先は父に向く。 「今日はずいぶん涼子の肩を持つのね?自分もやましいところがあるから、娘のことも責められないってわけ」  え?  父は母の言葉には答えず、わたしを振り返って言った。 「上に行ってなさい。気にしなくていい」  間髪入れず 「あなたが何をしようと勝手だけど、涼子はあたしの娘なんだから、あたしが心配して当然でしょう!」 と噛みつくような母の声を、それ以上聞きたくなくて私はリビングを後にして階段を上った。
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